内容説明
なんという目をした男なのだ―。吉之助の目を見た者は誰もがそう呟いた。
下級武士の家に生まれた西郷吉之助は、貧しいながら家族や友に恵まれて育つ。
のちに大久保利通となる正助とは、郷中仲間だ。島津斉彬の雄姿を間近に見た吉之助は、いつの日かこのお方にお仕えしたいと焦がれるようになる。時は幕末。夢かない、薄主・斉彬のお側仕えとなった吉之助は、一橋慶喜を将軍とするべく、名君と心を一にし、江戸に京都に飛び回るようになる。しかし暗躍むなしく宿敵・井伊直弼が大老の就任、異国の脅威が迫るなか斉彬は突然死。さらに国父・久光の逆鱗に触れた吉之助は、遠島を言い渡されてしまう―。
林真理子にして初めてなし得た、英雄物語!激動の青春編!